注目の論文
【神経変性疾患】アルツハイマー病発症でアミロイドβが果たす役割
Nature Communications
2012年8月22日
Neurodegenerative disease: Going off target
アルツハイマー病と一般的に関連づけられるアミロイド斑が発生する前に、可溶性アミロイドβによって嗅覚ニューロンの機能が阻害されることが判明した。アルツハイマー病の主たる発症原因をアミロイドβタンパク質とする証拠が増えてきているが、今回の研究で、そうした証拠が新たに加わった。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
アルツハイマー病は、脳全体に発生するアミロイド斑を特徴とする。しかし、アミロイドβタンパク質に関連する病理的変化が、アルツハイマー病発症の原因なのか結果なのかという点をめぐっては論争が激化している。
今回、M Albersたちは、2つの新しいトランスジェニックマウスモデルを用いて、ヒトアミロイドβタンパク質が嗅覚回路に及ぼす作用を調べた。その結果、嗅覚認識と匂いのかぎ分けに関与する神経ネットワークの機能が、アミロイド斑の形成前に低下し、その原因が、嗅覚ニューロンの軸索投射の異常であり、それが、アミロイドβタンパク質によって引き起こされることが明らかになった。
Albersたちは、今回得られた知見が、脳内のさまざまな神経回路に適用され、症状が現れる前のアルツハイマー病の初期段階に特異的で、効果の高い治療法の発見へ道を開く可能性があると考えている。
doi: 10.1038/ncomms2013
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