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シナプス結合の異常は神経変性疾患の原因となる

Nature Cell Biology

2012年8月27日

Defective synaptic contacts underlie neurodevelopmental disorders

Nature Cell Biology

神経発生の間に起こる樹状突起棘の成長とシナプスの結合を、プロテインキナーゼCDKL5が促進する仕組みが報告された。この研究は、CDKL5分子のレベルが大幅に低下すると神経細胞の活性が阻害される仕組みを明らかにしており、ヒトでの神経発生の異常に関連する突然変異が神経機能にどのように影響するのかを解明するのに役立ちそうだ。

ヒトでは、CDKL5をコードしている遺伝子の変異はすでに、レット症候群の中で神経発生異常や早発性てんかん、自閉症などの症状を示す特定の型と関連づけられていた。V Broccoliたちは、マウス脳ではCDKL5がシナプス結合領域に局在することを見いだした。さらに、ヒト細胞およびマウスモデルでCDKL5を大幅に減少させると、シナプス結合の正常な発生と神経細胞の正常な興奮性活動が阻害されることがわかった。また、マウスおよびヒトの細胞の両方で、CDKL5が細胞接着分子であるNGL-1のリン酸化による修飾に関わっていて(これによってNGL-1の結合活性が変更される)、シナプス結合の形成に不可欠なタンパク質との相互作用を助けていることも示された。

CDKL5に変異が生じているヒト由来の多能性細胞ではNGL-1のリン酸化レベルが低下しており、シナプス形成が障害されていることも明らかになったが、この特徴はCDKL5がサイレンシングされているマウス神経細胞のものとよく似ている。

doi: 10.1038/ncb2566

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