注目の論文

【神経科学】脆弱X症候群の分子基盤

Nature Communications

2012年9月26日

Neuroscience: The fragile X factor

Nature Communications

ニューロンの内在性カンナビノイドシグナル伝達が存在しないことが、自閉症の一般的な遺伝的原因である脆弱X症候群に伴う行動異常と神経生理学的異常の一因であることが判明した。この知見は、いまだに解明が進んでいない脆弱X症候群の神経生物学的性質に関する新たな手がかりといえる。その詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。

最も一般的な遺伝性精神障害である脆弱X症候群は、自閉症スペクトラム障害の主たる原因であり、軽症から重症の身体的、知的、感情症状を伴う。現在、研究者が模索する治療法の中心的なものは、グルタミン酸を介したシナプス可塑性の増強だ。グルタミン酸シグナル伝達は、正常機能時には、内在性カンナビノイドシグナル伝達と共役していることが知られている。今回、O Manzoniたちは、脆弱X症候群のマウスモデルを用いた研究を行い、このマウスにおいて、内在性カンナビノイド‐グルタミン酸シグナル伝達複合体の脱共役を発見し、この脱共役が、脆弱X症候群に伴う行動的影響と神経生理学的影響の原因だと結論づけている。

Manzoniたちは、今回得られた知見が新たな治療薬化合物の創出のための基盤となる可能性があると考えている。

doi: 10.1038/ncomms2045

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度