注目の論文
侵襲性ネズミチフス菌のゲノム塩基配列解読
Nature Genetics
2012年10月1日
Genome sequencing of invasive Salmonella Typhimurium
世界中のネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)の標本コレクションを用いた全ゲノム塩基配列解読について報告する論文が、今週、Nature Geneticsに掲載される。
サルモネラ(Salmonella)感染症は、チフス型と非チフス型(NTS)に分類され、ネズミチフス菌は、サハラ砂漠以南のアフリカで発生する侵襲性NTSと密接に関連している。侵襲性NTSは、栄養不良、重度の貧血、マラリアやHIVにかかった子どもとHIVの成人感染者に広くみられる。
Gordon Douganたちは、179点のネズミチフス菌の標本について、ゲノム塩基配列解読を行った。この標本には、侵襲性疾患と関連し、多様性に富んだサハラ砂漠以南のアフリカの菌株標本129点が含まれている。その結果、標本の大部分の起源が、非常に近縁な2つの系統であることが判明し、Douganたちは、それぞれ約52年前と約35年前に出現し、それが現在のHIVの大流行と密接に関連していると推測している。この2つの系統の類似性は、サハラ砂漠以南のアフリカ以外で収集された遺伝的多様性の高いネズミチフス菌の標本とは対照的だった。
doi: 10.1038/ng.2423
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