注目の論文
迅速対応型インフルエンザワクチン
Nature Biotechnology
2012年11月26日
Rapid response flu vaccine
メッセンジャーRNAだけでできたワクチンで動物をインフルエンザ感染から守れるとの報研究成果が報告されている。この方法がヒトでも有効ならば、インフルエンザワクチンを何か月もかけることなく、数週間以内に設計、製造できるようになり、パンデミックにはるかに速く対応できるようになるかもしれない。
既存のインフルエンザワクチンは、鶏卵か培養細胞を使って作られ、工程が煩雑で時間がかかる。したがって、新たなインフルエンザのパンデミックが発生した場合に、ワクチンを適切に供給するのが難しいおそれがある。メッセンジャーRNAなら、新しいインフルエンザ株の塩基配列に合わせて簡単に塩基配列を変えることができ、はるかに簡単な工程でもっと短期間で生産できるので、有用な代替ワクチンになる可能性がある。
Lothar Stitzたちが、マウスやフェレット、ブタにmRNAワクチンを接種して、この理論を検証したところ、市販のワクチンの場合と同等か、もっと効果的な免疫応答が誘発された。このmRNAワクチンには、他にも2つの利点がある。高温でも安定なことと、若齢マウスと高齢マウスでも効果があることである。もしもこの方法がヒトにも応用できれば、このような特性が、既存のインフルエンザワクチンの欠点を補ってくれるかもしれない。すなわち、新生児や高齢者でも十分な防御効果が得られ、また冷蔵保存のできない地域の住民も恩恵を受けられるかもしれない。
doi: 10.1038/nbt.2436
注目の論文
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
7月10日
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
7月9日
微生物学:自閉症スペクトラム障害は子どもの腸内細菌叢の変化と関連するNature Microbiology
-
7月9日
ウイルス学:牛H5N1インフルエンザの感染と伝播Nature
-
7月4日
考古学:チベット高原でデニソワ人が活動していたことを示す動物の骨Nature
-
7月4日
古生物学:オオサンショウウオに似た捕食動物Nature