注目の論文
【生態】体温が上がればツボカビ症の発症リスクは低くなる
Scientific Reports
2013年3月21日
Ecology: Taking the heat off frogs’ infection risk
3種のカエルについて、個体の体温とツボカビ真菌に感染するリスクの関係を調べる研究が行われ、その結果を報告する論文が、今週掲載される。
ツボカビ症は、ツボカビ真菌(Batrachochytrium dendrobatidis)(Bd)を原因とする疾患で、多くの両生類個体群の減少と絶滅を引き起こしている。これまでの研究では、カエルの個体群レベルで、環境温度と有病率の間に関連性のあることが判明していた。今回、Jodi RowleyとRoss Alfordは、オーストラリアの熱帯雨林に生息するカエル3種を対象とした研究で、個体の体温を追跡観察し、Bdの増殖にとっての最適温度の上限である25℃を超える環境で生息する期間が長くなると、カエルがBdに感染する確率が低下することを明らかにした。
しかし、体温上昇とBd感染の間に因果関係があるのかどうかはわかっていない。RowleyとAlfordは、高温を選好する個体に有利に働く自然選択や人為選択によって、カエルをこの病原体に感染しにくくできる可能性があると考えているが、カエルの個体は、そのほかの理由、例えば成長や食物の消化に役立てるために体温を変えることもある。それに、今回の研究結果は、Bdに感染したカエルが体温を変化させて、その温度を維持する傾向を反映したものである可能性もある。体温と感染リスクの関係を十分に解明するには、さらなる研究が必要となる。
doi: 10.1038/srep01515
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