注目の論文
【動物行動】類人猿以外の霊長類で観察された急速表情模倣
Scientific Reports
2013年3月28日
Animal behaviour: Monkey see, monkey mimic
急速表情模倣(RFM)という急速な自動的反応は、これまでヒトとオランウータンで観察され、類人猿以外の霊長類では見られなかったのだが、このほど、旧世界ザルの一種であるゲラダヒヒにおいて観察された。今回の研究は、RFMのような高度な感情の交換ができる霊長類種の新たな発見を示唆している。
RFMは、個体が別の個体の顔面表情を模倣する急速な無意図的反応である。これは、ヒトに一般的に見られる反応で、他者に共感する能力を反映するものと考えられており、オランウータンでも観察された。今回、Giada ManciniとPier Francesco Ferrari、Elisabetta Palagiは、RFMが社会的相互作用において重要だと考えられていることを踏まえて、この現象がゲラダヒヒ(Theropithecus gelada)にも存在するのかどうかを調べ、個体が戯れる状況での顔面表情に注目した。その結果、戯れているときのゲラダヒヒがRFMを示し、RFMが、個体間の遺伝的結びつきや感情的結びつきに応じて異なっていることが明らかになった。そして、母ザルと仔ザルの相互作用において、RFMのレベルが最大に達し、反応時間が最も短いことが観察された。
今回の研究結果は、ヒトのRFMの進化的起源が、ヒトに近い霊長類の誕生直後の乳仔と母親の関係である可能性を示唆している。
doi: 10.1038/srep01527
注目の論文
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
7月10日
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
7月9日
微生物学:自閉症スペクトラム障害は子どもの腸内細菌叢の変化と関連するNature Microbiology
-
7月9日
ウイルス学:牛H5N1インフルエンザの感染と伝播Nature
-
7月4日
考古学:チベット高原でデニソワ人が活動していたことを示す動物の骨Nature
-
7月4日
古生物学:オオサンショウウオに似た捕食動物Nature