注目の論文
【神経科学】母性本能説に対する父親の反論
Nature Communications
2013年4月17日
Neuroscience: Fathers wade in on maternal instinct theories
父親がわが子の泣き声を認識する能力は、母親と同程度であることを報告する論文が、今週掲載される。これまで、自らの赤ん坊の発声を認識する能力は、母親が父親よりも優れていると一般に考えられていたが、これと真っ向から対立する知見が、今回得られた。
親が子の泣き声の個別的特徴を判別する能力は、それぞれの子に適合した世話をしやすくするうえで1つの役割を果たしている。母性本能仮説によれば、母親は父親よりもこうした判別能力が高いとされる。しかし、これまでは、母親のみを調べる研究や父親と母親が赤ん坊と過ごした時間を考慮しない研究が行われていた。今回、Nicolas Mathevonたちは、フランスとコンゴ民主共和国のヒト被験者の対照研究を行った。この研究で、自分の赤ん坊と他の同年齢の赤ん坊の泣き声を比較して、自分の赤ん坊の泣き声を認識する能力を評価した。その結果、泣き声から自分の赤ん坊を認識する能力は、父親と母親が同等で、この能力に影響を及ぼす唯一の非常に重要な要因は、親が自分の赤ん坊と過ごした時間だったことが明らかになった。
Mathevonたちは、両親が泣き声によって自分自身の赤ん坊を認識する能力を決定するうえで重要なのは、性別特異的な生来の傾向ではなく、経験だと結論づけている。そして、Mathevonたちは、今回の研究で、広範な変数が認知技能に影響する過程と広範な変数が父親と母親に同じような影響を与えるのかどうかという点を確定するための根拠が得られることを期待している。
doi: 10.1038/ncomms2713
注目の論文
-
6月27日
生物工学:「RNAブリッジ」を用いた新しい遺伝子編集法Nature
-
6月25日
メンタルヘルス:治療抵抗性のうつ病に経口ケタミン錠が有効Nature Medicine
-
6月21日
古生物学:ブラジルで発見されたワニに似た古代の小型爬虫類の新種Scientific Reports
-
6月19日
医学:血中のタンパク質がパーキンソン病の予測に役立つかもしれないNature Communications
-
6月18日
公衆衛生:精神的ウェルビーイングは健康な加齢を促進するNature Human Behaviour
-
6月13日
動物学:帆翔する鳥類が揚力を生み出すために役立つ呼吸器構造Nature