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好中球媒介性肺傷害の解明

Nature Immunology

2008年6月30日

Constraining neutrophil damage

Nature Immunology

免疫系の「第一応答者」である好中球が標的組織に移動する過程を報告する論文が、Nature Immunology(電子版)に掲載される。

好中球とは、「見張り役」の白血球のことで、感染症の最初の徴候が現れた時点で、血流を離れて、感染源に移動する。ここで、好中球は、有害な化学物質を放出して侵入者を撃退しようと試みる。

このほどJ Xuらは、好中球の移動に必要な細胞内シグナル伝達分子MYLKを同定した。MYLKは、好中球の細胞外で検出された「危険」信号を好中球の細胞内構造と結びつけ、好中球がその形状と方向を変えられるようにし、同時に好中球が血管の中を這い進むために必要な「接着」特性を増強する。

Xuの研究グループは、MYLKが欠損した好中球の場合、敗血症の感染に応答して肺組織に移動する能力が低下することを明らかにしている。ただ、こうした欠点は、さほど悪いこととも言えない。すなわち、好中球が媒介する副次的傷害は、死の危険を伴う敗血症誘導性肺傷害の合併症の1つである急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の主たる原因である。MYLKと好中球細胞構造のシグナル伝達経路を特定できれば、ARDSの新たな標的候補を開発し始められるのである。

doi: 10.1038/ni.1628

英語の原文

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