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ワクチンの謎を解明

Nature Medicine

2008年12月15日

Vaccine mystery solved

Nature Medicine

1960年代のことだが、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンを子供に接種しても、不思議なことに保護作用を示すどころか、かえって病気が悪化した。この謎が、40年経ってようやく解き明かされた。

RSVは細気管支炎を引き起こすウイルスで、世界的に乳幼児の入院の大きな原因の1つとなっている。40年以上も前に、ホルマリンで不活性化したRSVワクチンを用いた乳幼児の予防接種が試みられたが、ウイルスに対する免疫力はつかず、感染がかえって重症化した。このワクチンがうまく機能しなかったのは、ホルマリンによって防御抗原(ウイルスの一部分で、防御抗体の生産を引き起こす)が破壊されたからだと、これまで広く考えられてきた。

F Polackたちは、ウイルスに対する防御効果が得られなかったのは、防御抗原に対する抗体の親和性が低かったためであることを明らかにした。病原体検出に重要な役割を果たす免疫分子、Toll様受容体(TLR)への刺激が乏しいために、抗体の成熟がうまく起こらなかったのである。機能しなかったワクチンと一緒にTLR活性化因子をマウスに接種したところ、RSVに対する防御効果が得られた。

この研究によって、40年間もRSVワクチン開発を阻んできた、問題の不活化ワクチンが保護作用を示さなかった理由が説明され、TLRアゴニストを加えたRSV不活化ワクチンを作れば効果的なワクチンになる可能性があることもわかった。また、親和性の成熟が乳幼児の安全な免疫化のカギとなることが明らかになった。

doi: 10.1038/nm.1894

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