注目の論文

関門を突破

Nature Biotechnology

2008年12月22日

Breaking through the barrier

Nature Biotechnology

マウスの中枢神経系に遺伝子を導入する非侵襲的な方法の報告が寄せられている。この研究はいつか、ルー・ゲーリック病などのような神経変性疾患の新しい治療法に結びつくかもしれない。

薬剤や遺伝子を脳や脊髄に送り込んで神経変性疾患を治療するのは難しい。細胞でできた通り抜けにくい血液脳関門(BBB)とよばれる障壁があって、血液と神経組織の間で分子の移動を制限しているからである。これまで、ウイルス、ウイルスベクターで血管内注射後にBBBを通過できるものは見つかっていなかった。B Kasparたちは、AAV9というウイルス株がマウスのBBBを通過し、さらに脳細胞へと遺伝子を運び込めることを明らかにした。また、このウイルスは脊髄の細胞を標的とするので、これを使えば中枢神経系の幅広い領域に遺伝子を導入できる。

将来この技術が、脊髄性筋萎縮症(SMA)や筋萎縮性側索硬化症(ALS:別名ルーゲーリック病)といった病気の患者に、原因遺伝子の正常コピーを導入するのに利用できる可能性がある。

doi: 10.1038/nbt.1515

英語の原文

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