注目の論文
アルツハイマー病の血管からプラークを除く
Nature Cell Biology
2008年12月22日
Clearing plaques in blood vessels in Alzheimer’s disease
脳にアミロイドβが蓄積するとアルツハイマー病の発症につながると考えられており、アミロイドβの除去を遅らせるように働く2つの重要なタンパク質が見つかっている。今回、認知機能低下と脳血管中のアミロイドβ除去抑制に関連する異常の治療標的候補を突き止めた研究が発表された。
アルツハイマー病がどういう原因で起こるのか、その詳細はまだわかっていない。以前の研究で、この病気は脳内にプラークとして、あるいは絡まり合った状態で存在するタンパク質と関連があることが明らかにされている。アミロイドβと呼ばれるこのようなタンパク質断片は、脳の細い動脈にも蓄積し、アルツハイマー病が進行するのに伴って起こる異常の一因となっている。
B Zlokovicたちは、DNAに結合して遺伝子発現を調節するSRFとMYOCDという、互いに作用するタンパク質の働きを調べた。これらのタンパク質はアルツハイマー病患者およびこの病気のマウスモデルの血管細胞で高度に発現されており、この2つのタンパク質の濃度が高くなるとアミロイドβの血管からの除去が妨げられるようになるとわかった。SRFとMYOCDのこの働きは、遺伝子発現を調節する3番目のタンパク質の活性化によっており、この3番目のタンパク質はLDL受容体関連タンパク質1(LRP-1)の発現を妨げることが知られている。そして、LRP-1は脳血管中のアミロイドβ除去を促進するタンパク質なのである。
doi: 10.1038/ncb1819
注目の論文
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
7月10日
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
7月9日
微生物学:自閉症スペクトラム障害は子どもの腸内細菌叢の変化と関連するNature Microbiology
-
7月9日
ウイルス学:牛H5N1インフルエンザの感染と伝播Nature
-
7月4日
考古学:チベット高原でデニソワ人が活動していたことを示す動物の骨Nature
-
7月4日
古生物学:オオサンショウウオに似た捕食動物Nature