注目の論文
プリオンと嗅覚
Nature Neuroscience
2008年12月22日
Prions and smell
Nature Neuroscience(電子版)の研究によると、プリオンは匂いの識別に役立つことがわかった。この謎めいたタンパク質の正常な機能について興味をそそられる手がかりをもたらしてくれる。
プリオンは、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)やウシ海綿状脳症(BSE)などの破壊的な病気にかかわるタンパク質であるが、正常な状態の機能についてはほとんど知られていない。S Firesteinらは、嗅覚を制御する脳の嗅覚系の神経細胞がプリオンタンパク質をもたないトランスジェニックマウスを調べた。このようなマウスは匂いを感知できるものの、埋められた餌を見つけ出すなどの匂い誘発行動や、匂い識別課題はあまりできなかった。この匂い識別異常は嗅球神経細胞のプリオンタンパク質を置換するだけで回復した。また、このトランスジェニックマウスには嗅球の神経細胞間情報伝達に特異的変化が発見されている。
プリオン病の病理とこのような匂い識別の変化の関連は明らかでないが、この謎のタンパク質の理解が少し深まった。
doi: 10.1038/nn.2238
注目の論文
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
7月10日
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
7月9日
微生物学:自閉症スペクトラム障害は子どもの腸内細菌叢の変化と関連するNature Microbiology
-
7月9日
ウイルス学:牛H5N1インフルエンザの感染と伝播Nature
-
7月4日
考古学:チベット高原でデニソワ人が活動していたことを示す動物の骨Nature
-
7月4日
古生物学:オオサンショウウオに似た捕食動物Nature