注目の論文

インターロイキン17は免疫系のジキルとハイド?

Nature Immunology

2009年5月18日

Interleukin 17

Nature Immunology

インターロイキン17(IL-17)は、炎症と自己免疫を促進すると考えられている可溶性因子だが、実際には炎症性大腸炎の発症を抑える働きをすることが明らかになった。

これまでの研究では、クローン病患者や大腸炎マウスの結腸組織に、IL-17や、別のサイトカインで同じく炎症や自己免疫にかかわるとされるインターフェロン・ガンマが、高濃度でみられることが報告されている。 今回Richard Flavellたちは、免疫細胞の一種、T細胞が引き金となって発症する大腸炎のマウスモデルを利用して、IL-17やIL-17受容体をもたないT細胞が引き起こす大腸炎は、IL-17を生産したりIL-17に反応したりするT細胞に比べて症状が重いことを明らかにした。IL-17欠失T細胞は、インターフェロンγの放出量も多かった。

これらの知見から、IL-17の最終的な作用は炎症促進の場合も炎症抑制の場合もあり、検討した組織や環境に左右される可能性が高い。

doi: 10.1038/ni.1736

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度