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がんの転移を防ぐCHIP

Nature Cell Biology

2009年2月9日

CHIPing away at cancer metastasis

Nature Cell Biology

CHIPと呼ばれる酵素が乳がんを抑制することがわかった。この酵素の標的の 1つはSRC-3として知られるタンパク質で、これは乳がん治療の新しい分子標的として有望だと考えられる。

固形がんの多くは転移し、原発部位からひろがっていく。治療の失敗や、がんによる死亡の主な原因は転移である。そこで、転移に必要な分子経路を標的とする薬剤の設計にまた関心が集まるようになってきている。

柳澤純たちは、いくつかの発がん性タンパク質を分解することが知られているCHIPが、遺伝子調節因子であるSRC-3も分解するように働き、これによって乳がんの進行が抑制されることを報告している。乳がんのマウスモデルでは、CHIPの発現は転移形成を阻害するが、CHIPを欠失させるとがんの進行が促進された。CHIPが失われた細胞では、複数のがん関連タンパク質の発現が増大し、がん細胞の特徴である浸潤性の増大と制御を受けない増殖が見られるようになった。

CHIPのがん抑制的な働きはSRC-3の分解によっているので、SRC-3は乳がんにおける新たな治療標的になると考えられる。

doi: 10.1038/ncb1839

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