注目の論文
柔らかくなる骨
Nature Medicine
2009年3月30日
Softening bone
骨の破壊を促進する分子機構をうまく利用すれば、骨粗しょう症を抑えることができるかもしれない。
骨の形成は、骨を作る造骨細胞(骨芽細胞)と骨を破壊する細胞(破骨細胞)のバランスによって決まる。骨粗しょう症といった病気の治療法の開発には、これらの細胞の起源や機能を制御する機構の解明が不可欠である。
K Redlichたちは、C-Cケモカイン受容体-2(CCR2)が、破骨細胞の出現を促進することによって骨量調節に重要な役割を果たしていることを明らかにした。CCR2をもたないマウスは、破骨細胞の数、大きさ、機能が低下するために骨量が多くなる。分子レベルで破骨細胞前駆細胞のCCR2を活性化すると、RANKとよばれる分子の発現が上昇する。RANKの働きにより、これらの前駆細胞は破骨細胞への分化誘導シグナルに反応できるようになる。
閉経後骨粗しょう症のモデル(卵巣を除去してエストロゲンを減少させたマウス)ではCCR2濃度が上昇し、RANKが増加して破骨細胞前駆細胞の分化能が高まる。したがって、CCR2をもたないマウスはエストロゲン減少に伴う骨量低下が起こらなくなる。したがって、CCR2活性化を標的にして防げば、閉経後骨粗しょう症を抑えられる可能性がある。
doi: 10.1038/nm.1945
注目の論文
-
12月13日
Nature Medicine:2025年の医療に影響を与える11の臨床試験Nature Medicine
-
12月13日
進化:最古の現生人類ゲノムから、4万5,000年前にネアンデルタールとの混血があったことが判明Nature
-
12月12日
進化:ワニはどのようにして皮膚を得たのかNature
-
12月12日
天文学:Firefly Sparkleが初期の銀河形成に光を当てるNature
-
12月12日
医学:マウスの子癇前症に対するmRNA療法の提供Nature
-
12月10日
加齢:脳の老化に関連する重要なタンパク質の発見Nature Aging