注目の論文
心血管系の健康を脅かす因子
Nature Genetics
2009年3月23日
Risk factors for cardiovascular health
突然心臓死を起こしやすくする遺伝子多型が複数同定され、その成果を報告する2つの論文がNature Genetics(電子版)に掲載される。今回の発見は、重症の心機能障害の根底にあることが多い心臓の不規則な動悸の解明に役立つと考えられ、その治療も可能になるかもしれない。
突然心臓死は、心臓の鼓動の時間間隔に関連しており、間隔が異常に長い場合や短い場合には、心臓の不規則な鼓動のリスクが高まる。その結果、心臓の健康に必要な電気シグナル伝達と化学シグナル伝達が阻害される。
QTSCDとQTGENの両コンソーシアムによって独自に実施された2つの全ゲノム関連解析で、心臓の鼓動の間隔と有意に関連する比較的高頻度の遺伝子多型が含まれる10のゲノム領域が新たに同定された。こうした関連は、ナトリウムイオンチャネル遺伝子やカリウムイオンチャネル遺伝子など、従来から心臓の電気活動を調節することが知られていた遺伝子や心臓細胞の成長や発生、血圧調節、カルシウム放出に関与する候補遺伝子として妥当であっても想定されていなかった遺伝子の近くで見つかった。
このような比較的高頻度の遺伝子多型が異常な心臓の鼓動の間隔に与える影響の根底にある機構を正しく解明することは、心血管機能の維持と向上を目的とする治療法の設計を改善する上で非常に大事だといえる。
doi: 10.1038/ng.364
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