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Nature Cell Biology

2009年5月25日

Targeting muscle disorders

Nature Cell Biology

酵素MIP/MTMR14の機能喪失と筋肉の異常との間をつなぐ分子がマウスで明らかにされた。この知見から、遺伝性の筋疾患の一部について新たな治療標的が見つかるかもしれない。

常染色体性中心核ミオパチーは遺伝性筋疾患の1つで、骨格筋の構造と代謝に重大な変化が生じるという特徴を持つ。酵素であるMIP/MTMR14をコードする遺伝子に生じた不活性化変異が、常染色体性中心核ミオパチーと関連することは以前に報告されている。そしてC-K Quたちは今回、シグナル伝達分子ホスファチジルイノシトールリン酸(PIP)の修飾に不可欠のMIP/MTMR14を欠くマウスは、筋力が低下し、疲れやすく、筋肉の収縮力が低くなっていることを明らかにした。筋肉の収縮には、細胞内カルシウム濃度の急速な変化が必要である。しかし、MIP/MTMR14が存在しない場合には未修飾のPIPが集積し、こうしたPIPは細胞内のカルシウム貯蔵場所である筋小胞体にあるカルシウム放出チャネルRyR1に結合してチャネルを活性化するために、細胞内カルシウム濃度が異常に上昇することを、Quたちは示した。

筋細胞でカルシウム濃度を適切に維持して筋肉を正常に働かせるのに、MIP基質の筋細胞中濃度のきめ細かい調節が非常に重要であることを実証したこの研究は、MIP/MTMR14機能の喪失に関連して起こるミオパチーの新しい治療標的となりそうな経路を明らかにするものだ。

doi: 10.1038/ncb1884

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