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提示の長期化がセリアック病を引き起こす

Nature Immunology

2009年8月31日

Prolonged presentation prompts Coeliac disease

Nature Immunology

セリアック病患者がどうしてコムギのタンパク質にアレルギー反応を起こすのか、その理由が明らかになった。コムギペプチドが免疫細胞に提示される時間が長くなることにより、より多くの細胞が活性化され、炎症反応の引き金となるという。この図式は、ほかのアレルギー反応や自己免疫反応にも当てはまる可能性がある。

セリアック病はコムギタンパク質の摂取に対する不耐症で、患者は摂取によって胃腸に強い免疫反応を起こす。そのため、この炎症反応が起こらないようにするために、患者は食事制限を続けなければならない。

抗原HLA-DQ2.5がセリアック病の高いリスクに関連していることがこれまでにわかっているが、L Sollidたちは、この抗原をもつ人が、この遺伝子のHLA-DQ2.2というよく似た型をもつ人に比べてコムギタンパク質に反応しやすいのはどうしてかを調べた。そして、DQ2.5とDQ2.2のペプチド結合溝にある1個のアミノ酸の違いによって、ペプチドが免疫細胞に長期間にわたって提示されるようになることを発見した。この違いから考えて、DQ2.5分子をもつ人ではコムギタンパク質との間により安定な結合ができて、コムギグルテンに対する不耐性につながるのだろう。

Sollidたちは、特定のHLA対立遺伝子が関係するほかの自己免疫疾患も、このようなペプチドの滞留時間の延長で説明できるかもしれないと述べている。

doi: 10.1038/ni.1780

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