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トマトの現生種の起源

Nature Genetics

2008年5月12日

The origins of the modern tomato

Nature Genetics

トマトの現生種の果実サイズが極めて大きいことの主要原因の1つとなっている遺伝子変異が同定された。この成果を報告する研究論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。

現代の栽培種のトマトは、その果実が、野生原種の最大1,000倍にもなっている。トマトが栽培化される過程で、果実が大きくなった明白な理由の1つは、心皮の数が増えたことである。心皮は、果実の最終的な子室数を決める器官である。

コーネル大学(米国ニューヨーク州)のS Tanksleyらは、子室数が多いトマト株あるいは子室数の少ないトマト株を交配してから、遺伝子マッピング研究を行い、心皮数の多様性の原因となっている1つ以上の遺伝子の同定を試みた。その結果、子室数が多いトマト株の場合だけ、fas遺伝子に6~8キロベースの挿入があることが判明した。挿入変異のあるトマト株においては、花芽の成長期にfas遺伝子の発現が低かった。Tanksleyらは、30種のチェリートマト株を調べたが、この挿入変異は全くみられなかった。チェリートマトは、トマトの野生型で、より小型の原種とつながりがあると考えられている。

この挿入変異は、現代の栽培種のトマトにのみみられることから、Tanksleyらは、この挿入変異が、トマトの栽培化過程で、最近生じ、大型果実が選ばれるようになった結果、急速に広がった、という考え方を示している。

doi: 10.1038/ng.144

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