注目の論文

二段重ねの危険性

Nature Neuroscience

2009年4月27日

The dangers of double dipping

Nature Neuroscience

機能的磁気共鳴画像法(fMRI)や脳の電気的活動を観測する研究によるデータの分析は、誤った結果を生じる場合がある、とNature Neuroscience(電子版)の論文で示唆されている。

fMRIのように脳を画像化する技術や、電気生理学のように一度に多くの神経細胞の電気的活動を記録する技術では、大量のデータが発生する。これらデータの中には固有の「ノイズ」があり、背景にあるほかの活動に伴って生じる。信号の質が悪いラジオ放送局を聞くようなものだ。目的の信号を増強するために実質上、生データは複雑に変換して分析されることがよくある。

N KriegeskorteとC Bakerは、人為的にある「ノイズ」データを作り出して分析を行い、実験上の変数とは無関係なデータにもかかわらず結果を得た。このことは多くの場合、分析によって本物の実験結果とは全く結びつかない偽の結果を生じるかもしれないことを示している。

これら偽の結果は、著者らが「二段重ね」と呼ぶ慣例に起因する。例えば、脳の一領域がある特定の刺激に対してほかの刺激より強く応答する、と仮定することがある。誤った「二段重ね」分析では、本来の刺激に対してより強く活性化する領域を探したり、仮説を検証したりするため、この領域だけを対象に分析しようとする。しかし、ある領域が1つの刺激に対し強く活性化したのは単なる偶然かもしれないので、この部分だけに限定してさらなる分析を行うのは誤った結果をもたらす可能性がある。

doi: 10.1038/nn.2303

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