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免疫細胞が脳卒中後の脳損傷を悪化させる

Nature Medicine

2009年8月3日

Immune cells worsen brain damage after stroke

Nature Medicine

ある種の免疫細胞が、虚血性脳損傷の後期の有害な作用にかかわることが明らかになった。

脳卒中の発作後の損傷の進行には、免疫細胞の動員と活性化がかかわるとされていたが、実際にかかわる細胞集団が何かは知られていなかった。

吉村昭彦たちは、免疫系の情報伝達細胞の1つでインターロイキン-17(IL-17)の生産を誘導する、γ/δT細胞とよばれる免疫細胞に着目した。そして、マウスの脳へのγ/δT細胞の浸潤とこの細胞によるIL-17の生産が、発作後の脳細胞に有害な作用を及ぼすことを発見した。

興味深いことに、IL-17のレベルは発作の3日後に最大になることから、このサイトカインが脳損傷の後期段階で役割を担うことが示唆される。また、γ/δT細胞の神経系への侵入を防ぐと、発作後の脳損傷の症状が改善する。

著者たちは、γ/δT細胞を治療標的とすれば、発作直後の損傷を悪化させる炎症反応を抑えられる可能性があると考えている。

doi: 10.1038/nm.1999

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