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長引く逆境の影響

Nature Neuroscience

2009年11月9日

The long shadows of adversity

Nature Neuroscience

マウスでは、幼少のころに受けた過酷なストレスが脳に長期にわたる遺伝子発現パターンの変化を生じる場合がある、とNature Neuroscience(電子版)に報告される。

以前の研究で、緊張にさらされ精神的ショックを受けるような環境で成長した子どもは、年齢を経てからうつ病を発症するリスクが高まることが知られている。その神経生物学的な根本原因を解明するため、D Spenglerらは、誕生から生後10日目までの期間中に何度も母親から引き離された仔マウスを調査した。母親と引き離されるストレスにより、ストレス関連ホルモンAVPを指令する遺伝子の抑制機構が特異的に失われたため、このホルモン濃度が上昇していた。

Spenglerらは、ストレス期間から1年経過したマウスでも異常な遺伝子修飾によりAVPが増加し、ほかのストレス状況に対して過剰な生理反応がみられることを確認した。また、幼少時に受けたストレスが行動や、時には精神医学的症状に長く影響するのは、1つには脳の遺伝子調節の持続的変化によるものかもしれないと結論付けている。

doi: 10.1038/nn.2436

英語の原文

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