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パーキンソン病の危険因子となる高頻度な遺伝子多型

Nature Genetics

2009年11月16日

Common genetic risk variants for Parkinson's disease

Nature Genetics

5つの遺伝子における高頻度な多型が孤発性パーキンソン病の危険因子であることが、2つの独立した研究によって判明した。これらの研究は、これまでのパーキンソン病のゲノムワイド関連解析の中で規模が最も大きく、一般集団でパーキンソン病のリスクを高める高頻度な遺伝子多型の解明を前進させた。

パーキンソン病は、65歳以上の人々の1~2%が罹患する神経変性疾患で、振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛、姿勢反射障害(倒れやすい)を特徴とする。症状を改善する可能性のある治療法は複数存在しているが、パーキンソン病の進行を遅らせ、あるいは止められるような治療法はない。

戸田達史(神戸大学)らは、約2,000人の日本人のパーキンソン病患者を対象とした解析を行い、PARK16、BST1、SNCA、LRRK2各遺伝子がパーキンソン病のリスクに強く関連することを見いだした。一方、米国立衛生研究所(メリーランド州ベセズダ)のA Singletonらは、約5,000人のヨーロッパ系パーキンソン病患者のゲノムを解析し、SNCA、MAPT両遺伝子内の多型がパーキンソン病のリスクに強く関連することを発見した。そして、この2つの研究チームは、互いのデータを比較し、PARK16、SNCA、LRRK2各遺伝子における多型が、日本人集団とヨーロッパ人集団の両方でパーキンソン病のリスクを高め、BST1、MAPT各遺伝子のリスク多型の影響は集団特異的とする見方を示している。

これまでの研究では、SNCA、LRRK2、MAPT各遺伝子の変異が、まれな常染色体優性パーキンソニズム(パーキンソン病の特徴を示す痴呆症の一種)に関連することがわかっており、まれなタイプのパーキンソニズムに関与するSNCA、LRRK2、MAPT各遺伝子は典型的なパーキンソン病の複雑な遺伝的基盤にも関与することが示唆されていた。

doi: 10.1038/ng.485

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