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決定を下す場所

Nature Neuroscience

2009年3月2日

Where decisions are made

Nature Neuroscience

意思決定にかかわる処理は、決定が抽象的なものか具体的なものかによって、脳の前頭葉の異なる領域で行われることがわかった。

脳の前頭葉を損傷すると、行動を制御できなくなる結果、衝動的で攻撃的になる。前頭葉は認知の制御や、意思決定と計画の立案に必要な心的資源の配分調節にも重要である。Nature Neuroscience(電子版)に発表される研究によると、前頭葉後部は具体的な行動の認知制御に、前部は抽象的な行動の認知制御にかかわっていることがわかった。

D Badreらは、前頭葉のさまざまな部分に損傷を受けた患者を調査し、より抽象的な行動(友人に電子メールを送るかどうか決めるなど)か、より具体的な行動(電子メールを入力するために実際にキーを打つなど)を要する課題を行った。前頭葉の後部を損傷した患者は、抽象的な行動より具体的な行動に障害があったのに対し、前部を損傷した患者は、具体的な行動より抽象的な行動に障害があった。

前頭葉は大きな構造であり、それぞれの部分がいろいろな種類の意思決定を統制し、階層的に組織化された認知制御を行うことが以前の研究で示唆されているが、今回の報告はこうした組織化の最初の直接的な証拠といえる。

doi: 10.1038/nn.2277

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