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「ばち指」に関する遺伝的手がかり

Nature Genetics

2008年5月26日

Genetic clue to ‘clubbing’

Nature Genetics

ばち指の原因となる遺伝子変異が同定された。ばち指とは、指と指の爪の変形で、いくつかの心肺疾患と関連している。この知見は、Nature Genetics(電子版)に掲載されるが、ばち指と関連する一連の疾患の診断に直ちに影響を及ぼす可能性がある。

太鼓のばちのように肥厚したばち指は、「ヒポクラテス指」と呼ばれることもある。これは、ばち指が病気の徴候だと言い出したのがヒポクラテスだったと考えられていることによる。また、ばち指は、最初に調べるべき臨床徴候の1つだと医学生は教え込まれている。ばち指は、ほとんどの場合に、重篤な疾患、特に肺癌、心臓病、甲状腺機能亢進症、消化管疾患の徴候となっている。

リーズ大学(英国)のD Bonthronらは、痛みを伴った関節の腫れを症状とし、ばち指がみられる一次性肥大性骨関節症(PHO)患者のいるパキスタン人家系(3家系)を調べた。その結果、脂環式化合物のプロスタグランジンを分解する役割を担う主要酵素15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の変異を同定した。さらにBonthronらは、一次性肥大性骨関節症患者において、プロスタグランジンの1つであるE2の値が慢性的に高いことを明らかにした。一次性肥大性骨関節症患者の臨床徴候については、プロスタグランジンの既知の機能によって説得力のある説明ができる。ここからは、ばち指が二次的に生じている肺癌や心臓病のような他の疾患についても、体内を循環するプロスタグランジンのレベルが常に高いことによって説明できることが示唆されている。

Bonthronらは、単純明快な尿検査でプロスタグランジンE2の値を調べることが、原因不明のばち指を持つ患者の診断にとって有用な第一歩となる、という見方を示している。

doi: 10.1038/ng.153

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