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クロスプライミングの「免許」

Nature Immunology

2010年3月1日

"Licensed" to cross-prime

Nature Immunology

NKT細胞はクロスプライミング過程で重要な役割を果たしている。クロスプライミングとは、免疫応答を引き起こすために、細胞外の感染性因子が取り込まれて加工処理され、ある種のT細胞へと提示されることで、この免疫応答は腫瘍に対して効果を示す。このNKT細胞が、ワクチンの設計に重要な働きをする可能性が明らかになった。

クロスプライミングには、樹状細胞、活性化を行う細胞(licensing cell)、細胞傷害性T細胞(CTL)という3種類の細胞が出会うことが不可欠である。樹状細胞は通常、licensing細胞であるヘルパーT細胞の介在によって感染性因子をクロスプライミングする。しかし、今回C Kurtsたちが明らかにした新しい機構では、全く別の種類の細胞、すなわちNKT細胞がクロスプライミングの引き金となるという。樹状細胞がNKT細胞と相互作用した後で化学シグナルを分泌すると、これが特定のCTLを特異的に誘引し、CTLが活性化される。

クロスプライミングに必要なこれら3種類の珍しい細胞が、時間的空間的にどのようにして集まり、相互作用するのかは、これまで謎だった。NKTの誘発によって起こる樹状細胞からの化学シグナル放出で、この謎がすんなりと解決する。今回の研究で明らかになったNKT細胞の重要性から考えて、NKT細胞を考慮に含めてワクチン設計を行えば、今後、より効果的なワクチンに結びつく可能性がある。

doi: 10.1038/ni.1848

英語の原文

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