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がんにみられる遺伝子再編成

Nature Medicine

2010年6月7日

Genetic rearrangements in cancer

Nature Medicine

前立腺がん、胃がん、黒色腫において、特異的タンパク質を含んだ遺伝子再編成が存在することが明らかになった。この再編成によって生じるハイブリッド分子が、新たな治療標的になる可能性がある。

転写因子は遺伝子発現を調節する分子だが、がんには、この転写因子の融合を起こす遺伝子再編成が広くみられる。しかし、転写因子を薬剤の標的とするのは、非常に勇気がいる。

A Chinnaiyanたちは、シーケンシング技術を利用して別のタイプの遺伝子再編成を探し、SLC45A3遺伝子とBRAF遺伝子の融合と、ESRP1遺伝子とRAF1遺伝子の融合を見つけ出した。これらの融合ではRAFファミリーに属するキナーゼが融合している。キナーゼは酵素の一種で、これまでの薬剤開発ではほかに比べてよい標的となっているため、Chinnaiyanたちは、このような再編成が存在する細胞が薬物治療に感受性を示すかどうかを調べた。実際に、前立腺細胞でこのような融合タンパク質が発現するとがんに似た特徴が現れるが、RAFキナーゼ阻害剤に対し感受性を示した。

頻度は低いが、RAF経路の再編成は、進行前立腺がん、胃がん、黒色腫で起こりやすい。これらの結果を総合すると、RAF阻害剤は遺伝子融合を起こしているある種のがんに有効な可能性があること、がんのゲノム塩基配列解読によって、頻度は低いが別種のがんに共通してみられる融合が見つけられることがわかった。

doi: 10.1038/nm.2166

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