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変形性関節症の遺伝的危険因子

Nature Genetics

2008年7月12日

Genetic risk factor for osteoarthritis

Nature Genetics

軟骨で発現する1つの遺伝子の多型が、変形性関節症の高い発症リスクと関連していることを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。変形性関節症は、最も一般的なタイプの関節炎で、関節に加わる衝撃を和らげる軟骨が破壊されることによる関節痛を特徴とする。

理研ゲノム医科学研究センターの池川志郎らは、日本人の変形性関節症患者と非患者を対象とした全ゲノム関連解析を行い、変形性関節症の高い発症リスクと関連するDVWA遺伝子の複数の多型を同定した。そして、この関連性は、別の日本人集団と中国人集団において再現された。

DVWAタンパク質の機能は不明だが、池川らは、このタンパク質が、別のタンパク質(βチューブリン)と結合し、その結合が、変形性関節症の高い発症リスクと関連するDVWA遺伝子の多型によって弱められることを明らかにした。βチューブリンは、微小管という細胞内構造体の形成に寄与し、微小管は、軟骨形成を制御することで特に知られている。池川らは、こうしたβチューブリンの活性がDVWAタンパク質によって調節されている可能性を指摘しており、これにより、DVWAタンパク質と変形性関節症の関連を説明できるかもしれない。

doi: 10.1038/ng.176

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