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メラトニンと2型糖尿病のリスク

Nature Genetics

2008年12月8日

Melatonin and risk of type 2 diabetes

Nature Genetics

メラトニン受容体をコードするヒト遺伝子において、2型糖尿病のリスクを高める複数の多型が同定された。この成果を報告する3つの論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。これは、体内時計を制御するメラトニンと2型糖尿病のつながりを示す、初めてヒトで得られた遺伝学的証拠である。

メラトニンは、生物の約24時間周期の概日リズムを制御することが知られている。そしてインスリン濃度は、この周期で変動し、夜間に最低値に達する。概日リズムの乱れと糖尿病を結びつける証拠は、いくつかの研究で示されていたが、今回の3つの研究は、遺伝的な結びつきがあることを明らかにしている。

2型糖尿病の危険因子である血糖値の高低と関連する多型の同定を試みるため、過去のいくつかの全ゲノム関連解析によるデータがプールされてきた。今回、米国ミシガン大学のG Abecasisらは、2つのヒトメラトニン受容体の1つをコードするMTNR1B遺伝子の多型が、血糖値と2型糖尿病のリスクをともに高めることを報告している。

また、ロンドン大学インペリアルカレッジ(英国)のP Froguelらは、この多型の近くに位置するMTNR1B遺伝子近傍の別の多型についても同じ結果が得られたことを報告している。この遺伝解析の結果は、ルンド大学(スウェーデン)のL Groopの研究チームによって確認された。さらにGroopらは、MTNR1B遺伝子のリスク多型をもつ被験者の膵臓のインスリン産生細胞でMTNR1B遺伝子が高発現すること、そしてメラトニンの存在下では、グルコースに反応した膵臓β細胞からのインスリン放出が阻害されることを明らかにした。

これら3つの研究のすべてで、1つ以上のメラトニン受容体に遺伝性変異があると、メラトニンがインスリン放出に与える直接的影響を介して、糖尿病にかかりやすくなる可能性があるという考え方が示されている。

doi: 10.1038/ng.290

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