注目の論文
平和を守るもう1つの道
Nature Immunology
2013年5月20日
Another way to keep the peace
自己免疫性糖尿病では、患者の免疫系の調節がうまく働かなくなっているが、その原因となる新たな機構が見つかった。
Leonard Harrisonたちは、自己免疫性糖尿病の患者とマウスモデルでは、CD52とよばれる分子を発現するT細胞群の数と機能が低下していることを発見した。この細胞は、糖尿病の原因となる他のT細胞の応答を制御する能力をもち、この制御はCD52に依存している。CD52は、臨床用抗体のよく知られた重要な標的として治療計画に利用されているが、体内での機能はこれまで謎だった。HarrisonたちはCD52の受容体としてSIGLEC-10を同定し、これが免疫応答の調節に果たす生理的役割を明らかにした。
CD52を発現する細胞の除去は、多発性硬化症の治療として行われているが、他の自己免疫疾患の引き金となってしまうことがある。今回の知見はCD52のもつ調節機能を実証するものであり、多発性硬化症治療に見られる原因のわからない厄介な副作用の謎の答えになるかもしれない。
doi: 10.1038/ni.2610
注目の論文
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
7月10日
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
7月9日
微生物学:自閉症スペクトラム障害は子どもの腸内細菌叢の変化と関連するNature Microbiology
-
7月9日
ウイルス学:牛H5N1インフルエンザの感染と伝播Nature
-
7月4日
考古学:チベット高原でデニソワ人が活動していたことを示す動物の骨Nature
-
7月4日
古生物学:オオサンショウウオに似た捕食動物Nature