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【神経科学】習慣と目的を指向する行為を担う脳領域

Nature Communications

2013年8月7日

Neuroscience: Brain areas that are a force of habit

Nature Communications

齧歯類における習慣指向的行為と目的指向的行為の切り替えを担う神経過程について記述された論文が、今週掲載される。この新知見は、日々の現実社会の状況に対処するための脳内回路に関する手がかりをもたらしており、強迫性障害のような疾患において破壊されているシステムに関する情報も得られる可能性がある。

すべての動物は、その行為の結果を内部評価することが必要となる状況に常に遭遇しており、習慣指向的行為と目的指向的行為の切り替えができることが重要となっている。目標指向的行為と習慣的行為の学習と実行の基盤となる神経回路は一部解明されているが、こうした行為や習慣が神経回路にどのように符号化されているのかはほとんどわかっていない。今回、Christina GremelとRui Costaは、マウスを対象とした新しい行動課題を開発した。この課題は、レバーを押す作業で、目標指向的戦略と習慣的戦略のいずれかに即座に切り替えて作業を行うことが求められるが、毎回、同じ報酬が与えられるというものだ。GremelとCostaは、脳の神経活動の記録をとり、目的指向的行為への切り替えに脳の眼窩前頭皮質領域と背内側線条体領域が必要で、習慣的行為への切り替えに背外側線条体領域が必要なことを見いだした。

今回はマウスでの研究だったが、GremelとCostaは、研究で得られた知見によって、依存症や強迫性障害のように習慣的行為と目的指向的行為のバランスが破壊された疾患の解明が進むと期待している。

doi: 10.1038/ncomms3264

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