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【古生物学】狩猟採集民が家畜ブタを初めて手にしたとき

Nature Communications

2013年8月28日

Palaeontology: Hunter gatherers bring home the bacon

Nature Communications

ヨーロッパ中石器時代の狩猟採集民が家畜ブタを手に入れたのは今から約7000年前のことだったとする研究報告が明らかになった。今回の研究では、狩猟採集民は、近隣の農耕民集団との接触を通じて家畜ブタを入手した可能性があり、この地域で家畜が存在していた時期がこれまで考えられていたよりも約500年早かったという見解が示されている。

ヨーロッパでは、野生の獲物を採集、狩猟することで知られる中石器時代の狩猟採集民が、紀元前12000年頃から住み続けていた。一方、紀元前5500~4200年頃に南方から移動してきた新石器時代の農耕民集団は、栽培化した植物と家畜(ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタなど)を利用していた。中石器時代と新石器時代のヒト集団が長期にわたって共存していたことを報告する論文が発表されており、出土した陶器や道具からは、これらの集団間に何らかの意思の疎通があったと考えられるが、狩猟採集民は、近隣の農耕民集団と異なる独自の生活様式を維持していたと考えられている。

中石器時代後期の狩猟採集民がイヌ以外の家畜を入手していたことを示す証拠は得られていない。今回、Almut Nebelたちは、古いDNAを解析して、ドイツ北部の中石器時代の狩猟採集民が、南方に住んでいた新石器時代前期の近隣集団から家畜を入手していたかどうかを調べた。Nebelたちは、63点の古いブタの標本に含まれる歯を調べて、その当時、近東とヨーロッパのミトコンドリアDNAの祖先を有するブタが存在していたことを示す証拠を得た。また、多くの家畜ブタの現生種の毛色に関連し、野生のブタと家畜ブタの間での雑種形成のマーカーとして用いられるMC1R遺伝子の変異も判明した。この遺伝子の存在が確認されたことで、Nebelたちは、さまざまな大きさと毛色の家畜ブタが中石器時代のヒト集団によって利用されており、その時期がこれまで考えられていたよりもかなり早かったと結論付けている。

doi: 10.1038/ncomms3348

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