【行動の性差】スリルを感じたいですか
Scientific Reports
2013年8月30日
Sex differences in behaviour: Has the thrill gone?
この35年間、身体能力を試される活動を行うことに対する男性の意欲が低下していることが、刺激追求(sensation seeking)に関する研究のメタ分析によって明らかになった。この新知見は、最近の文化的変化に応じて、行動に見られる性差の一部がなくなってきたという主張を裏付けている。
刺激追求とは、たとえリスクがあっても新規で強烈な体験をしたいという欲求が反映された性格特性だ。1970年代後半に、パラシュート降下や登山に挑戦したいと話すのは、女性より男性の方が多かった。しかし、過去数十年間、男性のスリル追求と冒険追求に関するスコアが下がってきており、男性の平均スコアは、女性の平均スコアに近づいている。 今回、Kate Crossたちは、スリル追求と冒険追求に関する性差の縮小は、平均適応度の低下を反映している可能性があり、このことが原因となって、身体能力を試される活動に対する人々の関心が減ったのではないかと考えている。もう1つの原因として考えられているのが、質問が時代遅れになったことだ。例えば、質問に使われている「スキー」は、もはや新規な活動とは考えられていない可能性がある。
今回の研究では、時代が変わっても性差が変わらない評価項目の存在も明らかになった。例えば、退屈な活動や反復的な活動を好まないことに関する男性の平均スコアは常に女性より高かった。こうした点での性差が不変であることは、男性に新規性の追求を好む素因があることと女性よりも男性がリスクを負うことを高く評価する社会的要因の併存を反映したものかもしれない。
doi: 10.1038/srep02486
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