注目の論文
改良された微生物研究法
Nature Methods
2013年10月21日
Better microbial surveys
配列データによって微生物の同定および定量を行う方法が、今週オンライン版に掲載される。この研究が示す方法は、ヒトの腸の正確な種レベルのプロファイルを明らかにしており、微生物群集の理解および健康と疾患でそれが果たす役割の解明に有用と考えられる。
環境試料中の微生物多様性を調べる場合、各微生物のDNAから配列が明らかにされた単一の保存遺伝子の変異が「指紋」として利用されることが多い。試料中の微生物は、類似性の程度による指紋配列の分類および既知種の指紋配列との比較によって同定される。
Peer Borkたちは、保存の程度がさまざまな10種類の遺伝子を利用することによってこの発想を拡張させ、配列を微生物種に割り当てる場合にこの方法が単一遺伝子による方法と比較してはるかに高精度であることを示している。研究チームが無料公開しているソフトウェアは、混合試料中のランダムなDNA断片に由来するゲノムデータからその10遺伝子の配列を自動的に抽出し、種の割り当てを行う。その方法は過去に配列が明らかにされているゲノムに依存せず、未知種のプロファイル解析に利用可能である。
ヒトの腸では、未知の種類の微生物が多様性全体の過半を占めていることが明らかにされた。既存のデータを利用してそうした種のプロファイルを明らかにすることにより、研究チームは、健常者と比較して潰瘍性大腸炎患者で選択的に存在または欠如している新種を発見した。
doi: 10.1038/nmeth.2693
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