注目の論文

【ウイルス】米国での季節性インフルエンザ流行の予測

Nature Communications

2013年12月4日

Virology: Predicting seasonal influenza in the US

Nature Communications

米国での季節性インフルエンザのピークを正確に予測できたことを報告する論文が掲載される。今回の研究では、リアルタイムでのウイルス発生の観察を用いた単純なモデルによって、最大9週間のリードタイムで、インフルエンザ流行の時期を正確に予測できることが示された。

冬の温帯地方でのインフルエンザ発生の一般的なピークについては、十分な研究報告があり、数々のワクチン接種プログラムが実施されているが、個々の地域でのインフルエンザの大発生の具体的時期、規模と期間は、年によって大きく変動している。もし、こうした特徴について確実な予測ができれば、公衆衛生対策の調整が改善される可能性がある。

今回、Jeffrey Shamanたちは、2012~2013年流行期の米国内108都市における季節性インフルエンザについて、リアルタイムで週間予測を行った。この予測システムは、米国ニューヨーク市について、過去にさかのぼって、新たな感染者数、感染しやすい人々の数、地域的ピークと大流行事例の総数を予測するために用いられた。それによって、インフルエンザ流行のピーク時期の確実な予測が得られ、そのリードタイムが一部の州で最大9週間であることが判明した。Shamanたちは、週間予測の精度が都市によって異なることを報告している。一部の地域(例えば、バーミングハム、カンザスシティー、バッファロー)については、実際に観察された局地的なピークの前後を問わず、インフルエンザの季節を通じて正確な予測ができたのに対して、シカゴ、ニューオーリンズなどの都市では、十分な予測ができなかった。サンディエゴ、アトランタ、ボストンなど数多くの都市では、インフルエンザの季節が進むにつれて予測精度が上昇した。全体的に言うと、各都市に関する予測精度は、季節が進むにつれて19%から74%に上昇し、第52週に達すると、インフルエンザウイルスのピーク週の全てに関するアンサンブル予測の63%で、誤差は1週間以内となった。

Shamanたちは、自分たちの予測の方が、過去の結果の再サンプリングによって得られた方法やその他の予測方法よりも相当に性能が高いことを報告している。

doi: 10.1038/ncomms3837

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度