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はっきり聞き分ける

Nature Neuroscience

2008年12月15日

Loud and clear

Nature Neuroscience

聴覚障害をもつラットは、訓練によって音の同定問題を克服できるのでは、と以前から考えられていた。この推測はどうやら当たっていた。Nature Neuroscience(電子版)の研究によると、ある音を別の音から区別する訓練を受けながら育ったラットは、神経細胞の忠実度に改善がみられる。

話し言葉を背景となる雑音から区別するためには、時間処理が重要である。時間処理に欠陥のある幼い子どもは読字障害だけでなく、言語発達の遅れや障害があることが示唆されている。

以前の研究で、時間処理に影響する神経細胞応答は訓練で改善できることが明らかになっていたが、これらはすべて成人の健常者に対して行われたものだ。X ZhouとM Merzenichは、発生途上で障害を受けたラットがこの訓練で神経応答を変化させられるかどうかを調べた。異常な環境で育てられたため最初は皮質応答の低下していたラットを訓練すると、目的の音を背景となる多種多様な雑音から聞き分ける能力が改善することがわかった。訓練終了後少なくとも2カ月は、皮質ニューロン応答の時間的忠実度の改善が保たれていた。

ヒトの場合、子どもの時間処理能力を改善する集中訓練は、聴覚情報の符合化を助けるのに有効であるといわれてきた。この研究は、通常は時間処理にかかわる領域の聴覚応答に行動訓練が影響することを示唆する。

doi: 10.1038/nn.2239

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