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【遺伝】ニジマスのゲノムが脊椎動物の進化の解明に手掛かりをもたらす

Nature Communications

2014年4月23日

Genetics: Trout genome provides insight into vertebrate evolution

Nature Communications

ニジマスの全ゲノム塩基配列の解読結果について報告する論文が、今週掲載される。この研究では、約1億年前に起こったゲノムの倍加というまれな事象の後のニジマスの遺伝子の進化速度が解明された。

全ゲノム重複は、ゲノムが突然倍加する事象のことで、脊椎動物の進化に重大な結果をもたらしているが、これまでに知られている全ゲノム重複事象の大部分が大昔に起こっているため、その解明はほとんど進んでいない。その中で、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)は、全ゲノム重複が比較的最近起こっているため、ゲノムの倍加が進化にもたらす影響を研究するためのユニークな素材となっている。

今回、Yann Guiguenたちは、ニジマスのゲノム塩基配列解読データと遺伝子発現データを用いて、全ゲノム重複以後に、タンパク質をコードする遺伝子全体の約半数が欠失したが、大部分のマイクロRNAは、2コピー残っていることを明らかにした。また、胚の発生と神経細胞のシナプスの発生と機能に関与する遺伝子が選択的に保持されていたことも分かった。Guiguenたちは、全ゲノム重複以後の遺伝子の進化が整然とした過程であり、脊椎動物のゲノムの進化の解明に重要な影響を及ぼしたという見解を示している。また、全ゲノム重複のタイミングからは、その後の遺伝子の進化が、これまで考えられていたよりも相当にゆっくりとした過程であることも示唆されている。

doi: 10.1038/ncomms4657

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