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【遺伝】ゲノム解析によって判明したシロアリの社会構成の遺伝的基盤

Nature Communications

2014年5月21日

Genetics: Termite genome reveals genetic basis for social organisation

Nature Communications

湿材シロアリの全ゲノム塩基配列について報告する論文が、今週、掲載される。今回の研究では、シロアリ個体群における複雑な社会構造の形成に影響を与えた可能性のある遺伝子が明確に示されており、こうした遺伝子がシロアリとその近縁種において進化した過程に関する手掛かりをもたらしている。

シロアリは、少数の個体が繁殖し、大多数の個体が採餌と防衛、介卵養育の任務を負うという社会構成を特徴としている。この種の社会構成は、真社会性と呼ばれ、膜翅目種(アリ、ミツバチ、スズメバチなど)とシロアリ類で観察されている。今回、Jurgen Liebigたちは、真社会性の遺伝的基盤を解明するため、ネバダオオシロアリ(Zootermopsis nevadensis)のゲノムの塩基配列を解読し、そのデータと真社会性の膜翅目種を対象とした過去の研究結果を比較した。

今回の研究で、シロアリ類と膜翅目種とを比較した場合、精子産生と匂いの感知に関係する遺伝子が異なる進化を遂げた一方で、真社会性の構造を維持する上で重要な免疫と生殖、内分泌に関係する遺伝子の数量と発現に類似性が見られることが明らかになった。そして、シロアリとその関連種の社会構成の根底にある生物学的機構に関する手掛かりをもたらされ、今後の昆虫の進化に関する研究にとって貴重なリソースが得られた。

doi: 10.1038/ncomms4636

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