注目の論文

リボソームを襲うSARS

Nature Structural & Molecular Biology

2009年10月19日

SARS attacking the ribosome

Nature Structural & Molecular Biology

宿主細胞のタンパク質合成に対してSARSが加える2種類の攻撃をテーマにした研究結果が、Nature Structural & Molecular Biology(電子版)に発表される。このような、SARSの宿主細胞を標的とする仕組みの解明は、いつかはSARSに対する治療法の確立につながるであろう。

mRNAの情報を解読しタンパク質を作る過程を翻訳といい、リボソームで行われる。多くのウイルスは、宿主細胞の正常な翻訳装置を妨害し、時にはその装置に働きかけてウイルスのタンパク質を生産させる。SARSコロナウイルスタンパク質nsp1は、宿主細胞のタンパク質生産を抑制するのに、このような機構を活用できることが知られている。

S Makinoらは、このnsp1が、宿主細胞の翻訳に供する情報とリボソームそれ自体の両方を改変していることを今回発表した。これは、SARSが宿主細胞の翻訳過程に対して2種類の攻撃を行っていることを示している。

doi: 10.1038/nsmb.1680

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