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チベット人の高地適応に寄与する遺伝子多様体

Nature Genetics

2014年8月18日

Gene variant contributes to Tibetan high-altitude adaptation

Nature Genetics

チベットの高地民族が極度の高地で生活できるようになった主な要因として、EGLN1遺伝子のバリアントが報告された。チベットの高地民族は、この遺伝子配列を持っているため、低酸素環境に応答した赤血球の過剰産生が起こらないようになっているというのだ。チベット高原は平均標高が4,500メートルを超え、世界で最も高い場所にあり、そこでの酸素濃度は、海面における酸素濃度の3分の2しかない。そうした環境に適応していない人が低酸素状態に置かれると、ほとんどの場合、赤血球の過剰産生が起こり、そのために血液の粘度が高くなる。これは血流と酸素供給を損ない、命取りになることもある。J Prchalたちは、チベット生まれで米国内に居住するチベット高地民族を被験者として、その高地適応の遺伝的基盤を調べた。基盤となる遺伝子の候補についての高分解能解析を行い、EGLN1遺伝子のバリアントが新たに同定されたのだ。この配列は、チベット人全体の約85%に見られ、チベット人以外の場合の保有率は、わずか0.8%だった。Prchalたちは、チベット人とそれ以外の人々から採取した血液から細胞を単離し、EGLN1遺伝子にコードされたチベット型のPHD2タンパク質が赤血球の産生を効率的に抑制するが、その作用は酸素濃度の低いときにだけ生じることを明らかにした。

doi: 10.1038/ng.3067

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