注目の論文
脂肪組織の細胞
Nature Immunology
2014年12月2日
Fat tissue cells
痩せた人の脂肪組織に長期間存在し抗炎症性を持つ、iNKT細胞とよばれる独特な免疫細胞の一群の性質が詳しく明らかになった。
マウスとヒトのiNKT細胞は、どちらも特異的な脂肪分子を認識し、特に脂肪組織に多く存在し、肥満が誘発する炎症やグルコース不耐性を防ぐ役割を果たしている。肥満の発症の際には、内臓脂肪のiNKT細胞が減少する。
Michael Brennerたちは、これまでに詳しく調べられた他のiNKT細胞と比較して、脂肪組織のiNKT細胞が独特な遺伝子群を発現していることを発見した。脂肪組織のiNKT細胞は、サイトカインのインターロイキン10とインターロイキン2を生産し、そのおかげで痩せた人の脂肪組織では、抗炎症性マクロファージ群が維持され、制御性T細胞の数が調節される。
iNKT細胞の持つ急速にサイトカインを生産する能力は、これまで自己免疫疾患やがんの動物モデルの免疫応答を操作するのに使われてきたが、今回の知見が示すように、肥満や代謝疾患の治療標的にもなるかもしれない。
doi: 10.1038/ni.3047
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