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【遺伝】陸に上がった魚のゲノム

Nature Communications

2014年12月3日

Genetics: The genome of a fish-out-of-wate

Nature Communications

胸鰭を使って陸上を動き回る水陸両生魚類、トビハゼのゲノムが解読された。トビハゼは、呼吸能力、すぐれた視力、陸上を移動する能力と環境中の高濃度のアンモニアへの耐性など一連の適応を進化させて、陸上生活への対応に役立てたことが、今回の解読結果から明らかになった。こうした研究結果の報告が、今週掲載される。

今回、Qiong Shiたちは、4種類のトビハゼのゲノムの塩基配列を解読した。その結果、およそ1億4000万年前にトビハゼが他の条鰭類から分岐し、その後、陸上生活に役立つ数百個の遺伝子を獲得したことが明らかになった。アンモニア排泄経路のいくつかの遺伝子が正の選択を受けており、これらの遺伝子が、アンモニア耐性について役割を果たしていることを示唆している。その一方で、自然免疫系の遺伝子が増えており、これは、陸生の病原体からトビハゼを守る上で役立った可能性が高い。また、視覚に関係する特定の遺伝子が失われ、あるいは変異していた。さらには、空気に触れたトビハゼの遺伝子発現プロファイルが明らかになり、トビハゼが低酸素環境に対処する上で役立つ可能性のある分子経路が明確になった。

今回の研究で浮き彫りになった遺伝子と分子機構は、トビハゼが、その風変わりな生活様式に適応する上で役立った可能性があり、約3億6000万年前にトビハゼよりも古い脊椎動物が水中から陸上に移った際にも役立った可能性がある。

doi: 10.1038/ncomms6594

英語の原文

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