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幹細胞の乳腺再生能は細胞接着に依存している

Nature Cell Biology

2008年5月12日

Stem-cell regeneration of the breast relies on adhesion

Nature Cell Biology

乳腺の上皮基底幹細胞と細胞環境との相互作用は、幹細胞の機能にとって重要であり、妊娠中の乳腺再生を助けていることがわかった。

乳腺の上皮基底幹細胞は、細胞を取り囲む細胞外マトリックスとの接着にかかわるインテグリンというタンパク質を多く含んでいる。M Glukhovaたちは、上皮基底細胞中でのβ1インテグリンの発現が、このような幹細胞の上皮再生能と妊娠中の乳腺の適切な発達に必須であることを明らかにしている。

マウスの乳腺組織の基底層からβ1インテグリン遺伝子を欠失させると、妊娠中の乳腺での管の分岐パターンが異常になり、その結果乳腺組織幹細胞の組織再生能力が消失して、乳腺の機能不全が起こる。β1インテグリンを欠く上皮基底幹細胞は異常な細胞分裂をするようになり、その結果、分岐パターンが変わってしまう。

幹細胞の大半を取り囲んでいる環境、すなわち幹細胞ニッチは、幹細胞の多くにとって重要であることが知られている。しかし、幹細胞ニッチに関しては、今のところ断片的な知識しか得られていない。今回の知見は上皮基底幹細胞とその細胞外マトリックスとの直接的な相互作用が乳腺幹細胞集団の維持に重要な役割をもつことを確証するものといえる。

doi: 10.1038/ncb1734

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