注目の論文

【古生物学】イヌ科動物化石の新たな分析でイヌの家畜化の時期を絞り込む

Scientific Reports

2015年2月5日

Palaeontology: Old bones teach new lessons about dog domestication

Scientific Reports

最も初期のイヌの頭蓋骨とされる化石の再分析が行われ、実はイヌではなくオオカミの頭蓋骨であることが判明した。この新知見は、今週掲載される論文に示されているが、イヌの家畜化の時期を決定する上で役立つ新たな証拠といえる。

イヌが家畜化された時期は、ヒトが狩猟採集民だった旧石器時代だったのか、ヒトが永住の地を定め、農耕を始めた新石器時代だったのかについては、今も論争が続いている。最近、2つの旧石器時代の頭蓋骨化石が発見された。第1の化石標本は、ベルギーのゴイエで発見された約3万1680年前のもの。第2の化石標本は、ロシアのエリセエヴィッチで発見された約1万4000年前のものだ。この2点はイヌの化石とされ、イヌの家畜化は新石器時代より前に起こったことが示唆されていた。しかし、今回、Abby Grace Drakeたちは、頭蓋骨を分類するために用いた測定法の分解能がイヌとオオカミを区別できるほど高くない可能性があるという考え方を示している。Drakeたちは頭蓋骨全体の詳細な3次元分析によって2点の旧石器時代の化石標本を再評価し、現代のイヌとオオカミの頭蓋骨と比較した結果、これらがイヌではなくオオカミの化石であることに間違いないと結論づけている。

上記の結果は、イヌの家畜化が旧石器時代に始まったとする最近の遺伝学的研究の結論を裏付けている。Drakeたちは、遺伝学的データと頭蓋骨の3次元分析を組み合わせることは、他のイヌ科動物の化石の再分類を行う上で役に立つ可能性があり、イヌの家畜化の起源に関する証拠を生み出すことができると考えている。

doi: 10.1038/srep08299

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度