注目の論文

アミロイド生成を防止

Nature Structural & Molecular Biology

2008年5月31日

Preventing amyloid formation

Nature Structural & Molecular Biology

没食子酸エピガロカテキンはEGCGとして一般に知られた抗酸化物質である。EGCGはアルツハイマー病やパーキンソン病にかかわる毒性のタンパク質凝集体であるアミロイド線維の生成を防げることが、Nature Structural & Molecular Biology(電子版)に発表される。この発見により、いくつかの神経変性疾患に関連するアミロイド生成を抑える、さらに有望な化合物開発への道が開かれる可能性がある。

アルツハイマー病やパーキンソン病などの疾患におけるアミロイド線維の沈着は、ある種の折りたたまれていないタンパク質が折りたたみ過程を誤って凝集するのが原因と考えられており、これが細胞に毒性をもたらし神経変性に至ることがある。E Wankerらは緑茶に豊富に含まれる化合物EGCGがこれら未変性の折りたたまれていないタンパク質に結合し、毒性のアミロイド種に変換されるのを防止できることを明らかにした。その代わりにEGCGは未変性タンパク質を細胞には無害な「経路を外れた(off-pathway)」凝集体へと誘導する。

EGCGはこれらの疾患に無関係な、折りたたまれていないタンパク質にも結合するのが認められたため、今後の研究はアミロイド生成に結びつくタンパク質を特異的に認識する化合物の設計に向かうであろう。

doi: 10.1038/nsmb.1437

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度