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【合成生物学】役目を終えた遺伝子組換え生物を分解するための内蔵スイッチ

Nature Communications

2015年5月20日

Synthetic biology: An inbuilt kill-switch to control GMOs

Nature Communications

遺伝子組換え生物の特定のDNA配列を選択的に破壊するように設計されたCRISPRベースのデバイスについて説明する論文が、今週掲載される。特定のDNA配列の破壊を制御できるデバイスには、遺伝子組換え生物の環境中への放出の防止や、知的財産の窃盗からバイオテクノロジー企業を守るなど、数々の用途が見込まれている。

遺伝子組換え微生物が環境中に放出される可能性に対する懸念が生じたことをきっかけに細胞死を誘導するさまざまな方法が開発されたが、これらの方法では、DNAが環境中に放出されることに関する諸問題が考慮されていない。また、DNAが安定していることと塩基配列解読技術の進歩によって、実験機器を滅菌するための過酷な処理を行った後でも遺伝情報を回収できる可能性が生まれている。DNAを選択的に分解するように設計された現行のシステムは、ゲノム全体の破壊に着目しているため、宿主生物は生存できない。

今回、Brian CaliandoとChristopher VoigtはCRISPRを用いたデバイスを設計したが、このデバイスは宿主細菌のゲノムに安定的に組み込まれ、ユーザーが指定するDNA配列(例えば、プラスミドが持つ外来の遺伝子)を選択的に分解する。このデバイスは誘導制御下に置かれ、特定の時刻や特定の条件下での活性化を容易に実現できる。このシステムは、目的のDNA配列を効率的に標的化して破壊するが、宿主の成長や代謝に対しては感知できるほどの負担がかからない。

doi: 10.1038/ncomms7989

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