Volume 582 Number 7811

Editorial

Natureは、科学研究における黒人差別を終わらせる取り組みに、全力を注ぐことを約束する。

Systemic racism: science must listen, learn and change p.147

doi: 10.1038/d41586-020-01678-x

News

米国での警官による黒人暴行死事件を契機に、世界の大学、研究機関でも人種差別への抗議行動が。

Grieving and frustrated: Black scientists call out racism in the wake of police killings p.155

doi: 10.1038/d41586-020-01705-x

タンパク質を原子レベルの分解能で解像できる、革命的なクライオ電子顕微鏡技術が。

‘It opens up a whole new universe’: Revolutionary microscopy technique sees individual atoms for first time p.156

doi: 10.1038/d41586-020-01658-1

COVID-19パンデミックによって、世界の炭素排出量が大幅に減少。

How the coronavirus pandemic slashed carbon emissions — in five graphs p.158

doi: 10.1038/d41586-020-01497-0

国際的に注目を集めたCOVID-19関連論文が撤回されたことで、外部企業を介したデータの管理・評価への懸念が。

High-profile coronavirus retractions raise concerns about data oversight p.160

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News Features

パンデミック後の科学:大学は元通りにはならない

Universities will never be the same after the coronavirus crisis p.162

オンライン講義は今後も一部で続くと見られ、経済危機による財政難などで縮小や閉鎖を迫られる大学が出てくる可能性がある。

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パンデミック後の科学:吉と出るか凶と出るか

Sputnik moment or budget breaker: How will the pandemic alter research funding? p.164

経済の混乱によって科学予算に悪影響が出る恐れがある一方、科学研究の重要性が注目されて予算が急増することも考えられる。

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パンデミック後の科学:学術大会の未来

How scientific conferences will survive the coronavirus shock p.166

バーチャルの学術大会が人気を博しており、これが新たな日常となる可能性がある。

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パンデミック後の科学:科学出版の在り方

Will the pandemic permanently alter scientific publishing? p.167

資金面の問題はあるものの、COVID-19危機によって、迅速かつオープンな出版が加速する可能性がある。

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パンデミック後の科学:縮小する世界

Scientists’ worlds will shrink in the wake of the pandemic p.169

パンデミックに伴う移動制限は弊害もあるが、環境問題の改善やより民主的な学術界へつながる期待もある。

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パンデミック後の科学:中国の科学

The pandemic is challenging China’s breakneck race to the top of science p.170

研究分野で米国を急追してきた中国だが、パンデミックによって科学研究資金が圧迫され、その勢いが減速する恐れがある。

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パンデミック後の科学:薬剤開発の新たな道

The coronavirus outbreak could make it quicker and easier to trial drugs p.172

パンデミックによって遠隔臨床試験やバーチャル化が推進されており、医薬品開発がより早く簡便なものへと恒久的に変わるかもしれない。

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パンデミック後の科学:研究対象の変化

The pandemic mixed up what scientists study – and some won’t go back p.173

多数の研究者が、パンデミックをきっかけにコロナウイルス研究を始めており、一部はその研究を継続することを願っている。

doi: 10.1038/d41586-020-01525-z

News & Views

気候変動:長期的な見積もりの短期的な検証

Short-term tests validate long-term estimates of climate change p.185

今回、6時間気象予報を用いて、数百年後の気候変動の見積もりが検証された。こうした検証には大きな可能性があるが、気象予報システムと気候予測システムが一体化している場合に限られる。

doi: 10.1038/d41586-020-01484-5

原子物理学:地球の軌道を回る量子物質

Quantum matter orbits Earth p.186

今回、ボース・アインシュタイン凝縮体と呼ばれるエキゾチックな極低温気体が、国際宇宙ステーションで生成された。この偉業は、技術的に画期的であるだけでなく、基礎物理学の理解を深める可能性もある。

doi: 10.1038/d41586-020-01653-6

生物工学:感染が疑われるウイルス群を調べるCRISPRツール

CRISPR tool scales up to interrogate a huge line-up of viral suspects p.188

未知のウイルス感染の迅速かつ信頼性の高い特定は難しい。今回、CRISPR技術を用いることで、多数のウイルスの核酸を同時に検出し、COVID-19の原因ウイルスなどの特定のウイルスを特定できた。

doi: 10.1038/d41586-020-01447-w

地球科学:山岳の高さを制御する力

Force takes control in mountain-height debate p.189

何が山脈の高さを支配しているのか。今回、テクトニックプレートの境界に近い山地に働く力の解析によって、高さを主に制御しているのは、気候によって駆動される侵食ではなくテクトニックな力であることが示唆された。

doi: 10.1038/d41586-020-01601-4

分子生物学:RNA干渉の尾

Genes silenced down the generations, thanks to tails on messenger RNA p.191

今回、線虫でサイレンシングを受けているメッセンジャーRNAに一連のヌクレオチドが付加されることが明らかになった。こうしたヌクレオチド尾部の構成によって、遺伝性の遺伝子調節を駆動する短鎖干渉RNA(siRNA)の形成が促進される。

doi: 10.1038/d41586-020-01417-2

Articles

原子物理学:地球周回軌道上の研究室におけるボース・アインシュタイン凝縮体の観測

Observation of Bose–Einstein condensates in an Earth-orbiting research lab p.193

doi: 10.1038/s41586-020-2346-1

物性物理学:魔法角ねじれ2層グラフェンにおける電子遷移のカスケード

Cascade of electronic transitions in magic-angle twisted bilayer graphene p.198

doi: 10.1038/s41586-020-2339-0

物性物理学:魔法角グラフェンにおける相転移のカスケードとディラック回復

Cascade of phase transitions and Dirac revivals in magic-angle graphene p.203

doi: 10.1038/s41586-020-2373-y

ナノスケール材料:ねじれた2層α-MoO3におけるトポロジカルポラリトンと光子魔法角

Topological polaritons and photonic magic angles in twisted α-MoO3 bilayers p.209

doi: 10.1038/s41586-020-2359-9

化学:励起状態コヒーレンスを利用する超高速ダイナミクスの合成制御

Leveraging excited-state coherence for synthetic control of ultrafast dynamics p.214

doi: 10.1038/s41586-020-2353-2

材料科学:軟質微小粒子の自己テンプレート集合による複雑な平面充填

Self-templating assembly of soft microparticles into complex tessellations p.219

doi: 10.1038/s41586-020-2341-6

地球科学:収束プレート境界において山岳の高さを制御する巨大逆断層のせん断力

Megathrust shear force controls mountain height at convergent plate margins p.225

doi: 10.1038/s41586-020-2340-7

システム生物学:予防接種の賛成派と反対派のインターネット上での争い

The online competition between pro- and anti-vaccination views p.230

doi: 10.1038/s41586-020-2281-1

遺伝学:正の選択を受けたFBN1のミスセンスバリアントがペルー人の身長を低下させる

A positively selected FBN1 missense variant reduces height in Peruvian individuals p.234

doi: 10.1038/s41586-020-2302-0

遺伝学:43万3540人の東アジア人における2型糖尿病座位の特定

Identification of type 2 diabetes loci in 433,540 East Asian individuals p.240

doi: 10.1038/s41586-020-2263-3

神経科学:視床下部発生の分子的設計図

Molecular design of hypothalamus development p.246

doi: 10.1038/s41586-020-2266-0

発生生物学:基底膜のリモデリングはマウスの胚形成を調節する

Basement membrane remodelling regulates mouse embryogenesis p.253

doi: 10.1038/s41586-020-2264-2

自己免疫:Notchシグナル伝達は滑膜繊維芽細胞のアイデンティティーと関節炎の病態を誘導する

Notch signalling drives synovial fibroblast identity and arthritis pathology p.259

doi: 10.1038/s41586-020-2222-z

免疫学:免疫グロブリンEのシアリル化はアレルギーの病原性の決定要因である

Sialylation of immunoglobulin E is a determinant of allergic pathogenicity p.265

doi: 10.1038/s41586-020-2311-z

細胞生物学:カルシニューリン–Hoxb13軸が哺乳類の心筋細胞の増殖様式を調節する

A calcineurin–Hoxb13 axis regulates growth mode of mammalian cardiomyocytes p.271

doi: 10.1038/s41586-020-2228-6

生物工学:Cas13を用いた大規模マルチプレックス解析による核酸検出

Massively multiplexed nucleic acid detection with Cas13 p.277

doi: 10.1038/s41586-020-2279-8

細胞生物学:ゲノムの保護とエピジェネティックな遺伝でのポリ(UG)尾部を持つRNAの働き

poly(UG)-tailed RNAs in genome protection and epigenetic inheritance p.283

doi: 10.1038/s41586-020-2323-8

構造生物学:SARS-CoV-2から得られたMproの構造とその阻害剤の発見

Structure of Mpro from SARS-CoV-2 and discovery of its inhibitors p.289

doi: 10.1038/s41586-020-2223-y

生物物理学:グラム陽性細菌の細胞壁の構造

The architecture of the Gram-positive bacterial cell wall p.294

doi: 10.1038/s41586-020-2236-6

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