Nature ハイライト
Cover Story:重力から逃れる:地球周回軌道上で初めて形成されたボース・アインシュタイン凝縮体
Nature 582, 7811
原子ガスを冷却・捕捉してボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を形成することで、量子挙動の巨視的スケールでの研究が可能になる。しかし、重力が干渉する場合、こうしたエキゾチックな物質状態を正確に制御することは難しい。今回R ThompsonとD Avelineたちは、重力の制約から逃れるという大きな一歩を踏み出し、地球周回軌道上で初めて生成されたBECの詳細について報告している。この研究は、2018年6月に国際宇宙ステーション(ISS)に設置されたCold Atom Laboratoryで行われた。自由に発展するBECは、重力から解放されて十分安定になったことでより長期の観測が可能になり、地球上では使えないトラップ法でBECを閉じ込めることができた。ISSでBECの生成・維持が可能になったことから、基本的な量子効果の高精度測定が可能になると予想される。
2020年6月11日号の Nature ハイライト
物性物理学:相関グラフェンにおけるねじれ、スピン、バレー
物性物理学:魔法角グラフェンにおける相関相の母状態
地球科学:山岳の高さを制御する巨大逆断層のせん断力
システム生物学:ワクチンに対する感情のオンライン生態系のマッピング
遺伝学:東アジア人集団の糖尿病リスク
神経科学:視床下部を構築する
発生生物学:基底膜のリモデリングは胚発生に必要である
自己免疫:Notch3シグナル伝達は滑膜繊維芽細胞の病原性において極めて重要である
細胞生物学:心臓の肥大と過形成を制御するスイッチ
生物工学:ナノ液滴中で病原体を検出する
分子生物学:トランスポゾンを抑え込む
構造生物学:SARS-CoV-2のプロテアーゼの構造