Nature ハイライト

Cover Story:耐え難い熱:気温の上昇で熱帯林は光合成の機能不全に近づいている

Nature 621, 7977

表紙は、オーストラリアの熱帯林における葉の温度の熱画像である。今回C. Doughtyたちは、熱帯の林冠の葉のごく一部が、46.7°Cという、光合成が機能しなくなり始める臨界温度に近づいている可能性があることを明らかにしている。彼らは、アマゾン、コンゴ盆地、東南アジアの上空で国際宇宙ステーションからの観測によって得られた高分解能熱測定結果を用いて、林冠の最高温度を推定した。その結果、乾燥期の林冠の平均温度は約34°Cであるが、一部は40°Cを超え得ることが見いだされた。重要なのは、林冠上部の葉は0.01%の割合で臨界温度を超えており、林冠上部の温度を人為的に上昇させた実験では、この割合が1.3%まで増大したことである。著者たちは、地上での観測データや実験データと組み合わせて、温暖化が3.9°Cを超えれば、大規模な葉の枯死と損失が起こり始める可能性があると見積もっている。今のところ、気候変動予測の最悪のシナリオでは、推定される気温上昇は4°Cと示唆されている。

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